もっと知りたい時計の話Vol.33

さまざまな時計、その素晴らしい機能や仕組み、その時計が生まれた歴史などについて、もっと知って楽しんで頂きたい。 日新堂のそんな想いを込めてお届けするのがこの「もっと知りたい、時計の話」です。

銀座のシンボル、ランドマークといえば、銀座4丁目交差点に位置する「SEIKO HOUSE GINZA」(旧・和光本館)の時計塔です。この時計塔がいま、正確に言えば10月5日から11月18日24時まで、ディズニー創立100周年を記念してミッキーマウスのデザインに。また17時から22時まで、特別なライトアップが行われています。

今回は東京・銀座の絶対的なシンボルであり、日本でいちばん有名なこの時計塔の歴史と、ライトアップの詳細をお伝えしましょう。

現在の時計塔の先代である初代時計塔が銀座4丁目交差点の角地にできたのは今から129年前の1894年(明治27年)。服部時計店の創業者・服部金太郎がこの場所にあった朝野新聞社屋を買い取り、増改築を施して服部時計店の新店舗とし、翌1895(明治28)年1月に営業を開始します。前年から鐘の音で毎正時を、さらにその1打で30分の時間経過を知らせた初代時計塔はそのシンボルでした。そしてこの時計塔はこの建物の建て替えに伴い、1923年(大正12年)の関東大震災の少し前、1921年(大正10年)に解体されいったん姿を消します。


1894年(明治27年)に落成した初代時計塔

時計を動かしていたムーブメントは横浜の外国商館にあった「コロン商会」から輸入されたスイス製の振り子式。内部には時計用と鐘を鳴らす用、2つの円筒形の大きな錘(おもり)が内蔵されていて、この錘が落ちる力で動く「重錘式」。この錘を人力で巻き上げることで1週間駆動したそうです。今の2代目時計塔と同様に四方にローマ数字の文字盤がありました。

そしてネオルネッサンス様式と呼ばれる天然石造りの服部時計店の社屋とともに、現在の2代目時計塔が誕生したのはそれから11年後の1932年。この2代目は四つある文字盤がほぼ正確に東西南北を向いているそうです。そしてこの2代目から文字盤はアラビア数字となります。


1932年に落成した和光本館と2代目時計塔。2008年に約300日間をかけて建物全体が補修、整備されて現在に至る。2009年には経済産業省から「近代化産業遺産」に認定された。

この2代目時計塔のムーブメントは、最初はドイツ製の振り子式。動力源はやはり初代と同じ「重錘式」でしたが、錘の巻き上げは人力ではなく電気モーターで行う方法に。30秒ごとに長針が動く「1/2ステップ運針」方式で、鐘が鳴るのは毎正時の「時打ち」だけだったそうです。そして、1945年(昭和20年)の第二次世界大戦敗戦、進駐軍による接収使用の間に服部時計店の小売部門を継承した「和光」が設立、接収が解除された1952年(昭和27年)にこの建物で本格的に営業を開始し、ビルは「和光」となります。

そして1954年(昭和29年)6月10日「時の記念日」のときから、時を音で知らせる機能がパワーアップ。現在のように、毎正時の45秒前にウェストミンスターチャイムが鳴り、その余韻のあとの第1打で毎正時を知らせる形式に変わります。音を鳴らすのは円盤型のゴングとパイプで作られた発音器だったそうです。

その後、ムーブメントは1966年にクオーツ式の親時計に基づいて電気モーターで針を動かすセイコー製に。1992年には当時は短波で発信されていた標準電波で時刻を自動修正するシステムに。つまり秒針はないものの、秒まで正確な時計に進化します。しかも、このときからチャイムと時報もCDを音源にスピーカーで流す形式に変わりました。

そして2002年からは、短波での標準電波発信中止を受けて、電話回線を使って標準電波の信号を得て時刻を自動修正するシステムに。さらに2004年からはGPS衛星電波を使って時刻を自動修正するシステムも備えたハイブリッド方式へと、さらに進化しました。


SEIKO HOUSE GINZA(旧・和光本館)

地上から時計塔のてっぺんまでの高さは39.39m。時計塔本体の高さは9.09m。てっぺんには8mの避雷針が付けられています。文字盤の直径は2.4m。現在の長針の長さは1.17m。短針の長さは0.75mです。

そんな長い歴史を持つ銀座のシンボル、「SEIKO HOUSE GINZA」の屋上にあるこの時計塔の文字盤が、10月5日(木曜日)から11月18日(土曜日)24時までの期間限定で、ディズニー創立100周年を記念してミッキーマウスが2本の手で時刻を示すミッキーマウスデザインになっています。これはこの時計塔の90年を超える歴史の中で初めてのこと。銀座を訪れる機会、近くに来る機会があったら、ぜひ訪れてその特別な姿を眺めてみてはどうでしょう。


©Disney

加えてSEIKO HOUSE GINZA1階のショーウィンドウにも、何と同じサイズのミッキーマウスデザイン文字版の時計を配置。そのまわりには、弧を描くように配置されたランプが光の振り子のように動いて、まるで屋上の時計を動かしているような仕掛けに。しかも毎正時には屋上から流れるチャイムに合わせ、ミッキーマウスが針である腕をぐるぐると回して、しかもその動きに合わせてショーウィンドウのランプも点滅。まるで「魔法がかけられた時計が動き出す」ような演出になっているので、こちらも見逃せません。

しかも、毎日17時~22時の間は、時計塔がパープルの光でスペシャルライトアップされます。これは「Moments of Magic at the Clock Tower」というこのイベントのテーマに基づいた色とのこと。こちらのライトアップも気になる方は、ぜひお見逃しなく。


17時〜22時のライトアップ時。©Disney

参考

WAKOホームページ↓和光と時計塔の歴史

セイコーミュージアム銀座 ホームページ↓和光の時計塔