vol.23 銀座の名物
老舗洋食の元祖ポークカツで昼ごはん
日新堂の近くにある名店や街の魅力をお伝えしたい、そんな想いから生まれた『日新堂マガジン』。喜ばれる手土産やおいしいカフェ、そして街の歴史やちょっとしたトリビアまで、日新堂のお客さまが愉しめる街案内をお届けいたします。
第23回目は、明治創業の銀座らしい洋食屋をご紹介します。
食通な文化人も愛した洋食屋
銀座はおいしい洋食屋が多い街。明治28(1895)年創業の老舗「煉瓦亭」もそのひとつです。煉瓦亭の初代は、横浜のホテルで料理人として研鑽を積み、ハイカラな街・銀座に西洋料理店を構えます。築地の居留地に暮らす外国人にむけた本格的なコース料理を供する店は、洋行帰りの日本人や文化人の間で話題となり多くの人が訪れるようになります。そこで西洋料理のエッセンスを取り入れながらも日本人好みのメニューを新たに考案。そんな煉瓦亭発祥のメニューは、大正から昭和へと移り変わる時代とともに、庶民の手が届く“洋食”へ。食通で知られた作家・池波正太郎氏や漫画家・手塚治氏なども銀座らしい洋食の味を求めてしばしば店を訪れたそうです。
一階から三階まである煉瓦亭。入口では四代目店主が笑顔でお出迎え。二階は椅子席、三階は和室になっている。コロナ禍で変化したのは、銀座でのひとときをゆっくり楽しんで欲しいと、営業時間を少し長くしたことだそう。
寛いだ気分で過ごせる二階フロア。奥のテーブル席は、店主の趣味の古いカメラなどが飾られている。
名物・元祖ポークカツレツはトンカツの原型に
煉瓦亭がはじめてならば、まずは元祖ポークカツレツを。煉瓦亭発祥の洋食であるポークカツレツは、初代がコートレット(仔牛肉のカツレツ)に着想を得て生みだした料理です。コートレットとは、ドライパン粉をまぶした薄い牛肉をひたひたの油で焼きあげてバターで風味をつけた料理。当時の日本人にはやや重たい一皿だったようで、サクッと軽やかな食感にするためにパン粉や揚げ油、そして鍋にも工夫を重ねたそうです。カツを揚げるために西洋料理の厨房に天ぷら鍋を持ち込んだというエピソードも。柔らかくジューシーなポークカツは、ボリュームがあるように見えてするりといただける軽やかさ。ほかにもじっくり煮込んだデミグラスソースが味の決め手のハヤシライスやケチャップライスを玉子で巻いたオムライス、昔ながらのハムライスも人気です。街とともに時を重ねてきた店で銀座らしい洋食をどうぞ。
厚い豚肉に隠し包丁をいれて叩いて柔らかさを、サクッとした食感のために生パン粉を使っている元祖ポークカツ。揚げ油にもこだわり三種類の油をブレンドしている。銀座一丁目にある名店セントル ザ ベーカリーのパンとあわせて。元祖ポークカツ2,300円、パン500円
SNSで“映える”と話題になっている大きなハムをのせたハムライス。昼も夜もメニューは同じなのがうれしい。2,100円 photo by ©rengatei
掲載情報は2022年11月のものとなります。価格は税込みです。
■DATA■
銀座 煉瓦亭
住所 東京都中央区銀座3‐5‐16
電話番号 03‐3561‐3882
営業時間 11:15~15:00(L.O. 14:30)、16:40~21:00(L.O. 20:30)
休日 日曜日
営業時間・定休日は状況にあわせて急な変更も。お出掛けの際はお電話などにてご確認を。
銀座 煉瓦亭