vol.12 銀座でひるごはん

歴史ある竹葉亭でごちそう鰻丼を

日新堂の近くにある名店や街の魅力をお伝えしたい、そんな想いから生まれた『日新堂マガジン』。喜ばれる手土産やコーヒーのおいしいカフェ、そして街の歴史やちょっとしたトリビアまで、日新堂のお客さまが愉しめる街案内をお届けいたします。
第12回目は、一年の締めくくりにふさわしい贅沢なおひるごはんをご紹介します。










枯淡の趣がある老舗の鰻料理屋

銀座八丁目にある、鰻の蒲焼きが名物の「竹葉亭本店」。江戸は幕末のころ、山岡鉄舟の桃井道場へと通う門下生の帯刀を預かる茶屋としてはじまり、明治になってから料理屋になったと伝わっています。大正12(1923)年の関東大震災後には、新富町にあった店を銀座の地へと移します。奇跡的に戦災をのがれたため、店は大正13(1924)年に建てられた当時のまま。枯淡の趣ある離れや茶室は、銀座とは思えぬ静かなたたずまいを残しています。財界人や文化人、歌舞伎役者などの食通をもてなしてきた名店ですが、気軽に鰻を楽しめる椅子席もあります。



関東大震災時には、店の小僧さんがタレ壺を背負って逃げたという逸話も。あっさりとした品のいいタレは、創業以来継ぎ足しつづけている。鰻丼には肝吸いと香の物がつく。鰻丼/3,520円









建築当時の佇まいが残る離れや茶室。中庭を見ながら鰻を待つ楽しみも。













品のある洗練された江戸の味

竹葉亭本店の鰻の蒲焼きは、静岡県は吉田の鰻をつかっています。柔らかで身が締まった上質な鰻を白焼きにして蒸しあげて、代々継ぎ足してきたタレにつけながら備長炭で焼き上げています。しかしそこは銀座の鰻、煙の匂いをつけすぎないようにも気を配っているそう。タレも甘すぎず、辛すぎず、さっぱりと品のある江戸の味です。ふっくら、そしてカリっと香ばしい鰻丼にあっさりした肝吸いがついた定食は、昼から夜までいただける人気を誇るお品書き。土用の丑の日で知られる鰻ですが、しっかりと身に脂をたくわえた冬の鰻はとてもおいしいもの。いろいろなことがあった一年の締めくくり、もしくは新たな年の始まりに、ちょっと贅沢なおひるごはんはいかがですか。



椅子席では、鰻丼やコース料理はもちろん、うまきや鯛茶漬け、一品料理なども愉しめる。夜の早いうちから鰻とお酒を愉しむ女性も多いそう。









歴史ある店構えの竹葉亭本店。銀座駅からは少し歩くけれど、それがまたよし。









掲載情報は2021年12月のものとなります。価格はすべて税込

■DATA■
竹葉亭本店
住所   東京都中央区銀座8-14-7
電話番号 03-3542-0789
営業時間 11:30~15:00(L.O.14:30)、16:30~21:00(L.O.20:00)
休日   日曜・祝日
離れ(個室)はコース料理のみ予約可能。

竹葉亭本店