銀座の銘菓のご紹介 その2

"菓子は果物から生まれた"

今回は都内の一等地に三店舗を構える老舗銘菓店「HIGASHIYA」さん。
HIGASHIYAとは"日々の菓子"屋というところからきている。


先ず、名称にこだわりがある。
その名も【ひと口果子】。"菓子"ではない。

果子は書いて字の如く、古来干し柿等の"樹木から成る実"を保存食として備蓄したのがはじまりとされている。しかしながら、今日に至る和菓子とは、中世に於ける"茶の湯"の流行からであり、優雅な時をたのしむための名脇役としての意味が大きい。


さて、この度お目に掛かった和菓子は小さな桐でできた三段重ねの箱に納められたカラフルな団子たちである。見た目はとても小さな花見の重箱の様式を模しているようである。
素材は無垢の本桐製。


各段の底には横ズレ防止の底板がもう一枚取り付けられていて、気密性にも一役買う。
蝋引きされた麻紐を解くと、一段を四つに仕切った枠の中に直径2センチほどの団子が現れた。四つが三段で12個入り。

季節に合わせた四季の移ろいを感じながら、12個の団子で味覚のタイムスリップを楽しめる内容となっている。草木染製品の様に色とりどりの有機的な果子は秋の行楽地の山あいを想わせる。添えられたカラフルなリーフレットに24節季に因んだ団子の説明が日本語や英語で記されており、食べる前に団子の色目と照らし合わせて楽しめるテイスティングマップの役割を果たしている。


均一な見た目を裏切る「異なる食感」。

"無垢"は最古の保存食である「餅」のように潰して練り上げたもの。
"ミックス"は羊羹のように練ってから欠片を混ぜたもの
"コーティング"は饅頭の様に練った餡を側で包んだもの

和菓子の3大テクニックを密かに駆使されているところも見逃してはいけない。

一粒は正確に14グラム。
食感は極限まで滑らかなサツマイモといった印象。
噛むよりも飲むに近く、姿形は秒で消えていくが『一滴の水も大杯の水となる』の例えの如く、一粒毎に芳醇な季節の恵が楽しめる。

風味豊かなテイストはお茶に限らず、酒でも相性はよいだろうが、はじめは是非とも水無しでお召し上がりください。
足の早い商品になってしまいますが、それもまた特別なものの特徴のひとつ、かと思う。

HIGASHIYA GINZA

住所   東京都中央区銀座1-7-7

                  ポーラ銀座ビル2階

電話番号 売店 03-3538-3230

                  茶房 03-3538-3240

営業時間 11:00~19:00(茶房18:00L.O)無休